当院の施術、整体の説明と主な症状。

当院はマッサージなどの強い刺激を与える行為はおこなっていません。

身体の中に不自然なくせや歪みが作られていると、一部の関節や筋肉に強い負荷がかかってしまい、これが腰痛や肩こり、股関節や膝関節などの不調の原因となります。痛みやコリは、その場所に原因があるだけではありません。身体の歪みとバランスを整えることで、慢性的な症状でも根本から改善することができるのです。当院では主に骨盤・股関節・足関節・頸椎の調整を行います。身体の中に不自然なくせや歪みが作られていると、一部の関節や筋肉に強い負荷がかかってしまい、これが腰痛や肩こり、股関節や膝関節などの不調の原因となります。痛みやコリは、その場所に原因があるだけではありません。身体の歪みとバランスを整えることで、慢性的な症状でも根本から改善することができるのです。当院では主に骨盤・股関節・足関節・頸椎の調整を行います。辛い肩こりや腰痛、ヘルニアなどは歪みが関連していることが多いとわかってきました。歪み=悪では無いですが、長引いていたり強い症状を持つ方は関連する部位に歪みを持っている事が多いです。また、身体の歪みは筋肉によって固定されてしまいます。ですから当院では骨格だけでなく筋肉の状態も同時に治療するので、より根本的に歪みを矯正することができるのです。

筋肉と神経の状態を改善する治療法

PNFとは、英語のProprioceptive Neuromuscular Facilitationの略語で、日本語では「固有受容性神経筋促通(法)」と訳されているリハビリ手技です。筋肉は神経の命令がスムーズに伝わらないとうまく働けません。その神経と筋肉のつながりをスムーズに改善するのがPNFという治療法なのです。当院のPNFは、優しく体を刺激するだけで患者さん自身は運動する必要がありません。ですから患者さん自身の負担も少なく、痛みの強い方やケガの直後でも治療をすることができます。「腰のヘルニアで背骨が変形している」「膝の軟骨が潰れてしまっている」病院でその様に診断されたことはありませんか?骨や軟骨が変形してるって、とても痛そうですね。
しかしながら最新の研究では「骨の変形があっても痛みが無い場合も多く、腰痛の無い健常な成人でもレントゲン上で異常が同じように見つかる。」とされています。つまり、骨や軟骨だけが痛みの原因では無いということです。では、痛みはどこからやって来るでしょうか?身体の動きはすべて筋肉によって行われています。
筋肉が正常に働いている状態では、関節もスムーズに動き痛みが出ることがありません。しかし、一部の筋肉に負担がかかったり、急な力で損傷した場合に痛みが出ます。これを筋・筋膜性疼痛症候群と言い、痛みやシビレの原因になっているケースが非常に多いことがわかってきました。ですから筋肉を治療することが非常に大切なのです。

筋肉が正常に働けるようにするPNF

痛みを出している筋肉は、神経からの命令が届きにくくなり血流も悪くなっています。
筋肉の改善には、神経の流れを正常に戻してやることが大切です。当院のPNF療法は、関節の軸を揃え身体の反射を利用することで神経の流れを正常化します。
それにより筋肉の状態を改善することができるのです。PNFの施術には痛みを伴いません。痛いという反応が緊張を生み、正常な神経回路を邪魔してしまうからです。

関節痛を始め痛みの出口が筋肉である以上、筋機能の回復法を確立しなければ痛みの解消はあり得なく、又、そのカギのひとつは、神経の命令を筋肉に伝える神経筋ユニットの伝達状態であり、この神経筋ユニットの伝達機能の回復こそが痛みの解消の大前提です。人の健康は神経とホルモンの二大調整機能で維持されており、この維持された状態を恒常性=ホメオスターシスの確保と言います。筋肉の持久力と代謝力を飛躍的に改善向上筋肉の持久力と代謝力を素早く向上させ筋力の自律的回復に高い効果が期待できます。

スポーツ障害、関節障害時には、脊髄反射弓障害に基づく主動筋、共役筋の協調不全により運動制限、可動域制限が生じる骨格筋群に筋紡錘、腱紡錘を介して他動的に求心性刺激を与え、生理的な神経・筋関連に修復し、骨格筋群の能動性を増進します。

腰が痛いのは、骨盤が歪んでいるから…という説明をよくされるのですが、なぜ骨盤は歪むのでしょうか。答えは骨盤周囲の筋肉の緊張により、骨盤が引っ張られたり、動きにくい状態が発生するからです。大事なのは、骨盤を歪めている原因に対する施術、要するに骨盤を動きにくくしている骨盤周囲の筋肉の緊張を取り除いてやれば、ほとんどの骨盤は自然と整い、痛みも和らいでいくのです。

PNF(Proprioceptive Neuromuscular Facilitation)=固有受容性神経筋促通法

「P」のproprioceptiveは固有受容器(性)のことで、身体の至るところにある感覚受容器が刺激を受けることを意味します。感覚受容器は、皮膚や体内器官、筋や腱、関節など、そして視覚や聴覚などにも存在します。「N」のneuromuscularは神経に反応する筋肉繊維のことです。「F」のfacilitationは促通法であり、刺激に対して反応しやすくなることです。
つまり、固有受容器(筋肉の端と端にある筋・腱紡錘)を刺激し、神経伝達物質であるアセチルコリンを分泌させ、筋肉の働きを回復させ、日常生活に必要な運動機能を獲得させる手技療法をPNF療法といいます。

PNFの歴史

医師であり神経生理学者でもあるアメリカのDr. Herman Kabatが、1940年Kenny method のポリオの患者に対するデモンストレーションにヒントを得て、1950年理学療法士であるMaggie Knottと共にPNF法を研究、開発する。1968年Maggie Knottに引き継がれ、特に脳神経麻痺や脳血管障害などの神経障害や筋力低下などの改善を目的に、リハビリテーション医学において世界的に発展していきました。現在ではスポーツ医学、教育、整体の分野にも広く活用されています。

神経筋接合部
(1)運動ニューロンの軸索
(2)神経筋接合部
(3)筋線維
(4)筋原線維
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神経筋接合部の拡大図
(1)神経終末と神経終末球
(2)筋形質膜
(3)アセチルコリンを含んだシナプス小胞
(4)アセチルコリン受容体
(5)ミトコンドリア
(A)から (B)への神経伝達の様子 
(1)ミトコンドリア
(2)神経伝達物質が詰まったシナプス小胞
(3)自己受容体
(4)シナプス間隙を拡散する神経伝達物質
(5)後シナプス細胞の受容体
(6)前シナプス細胞のカルシウムイオンチャネル
(7)シナプス小胞の開口放出
(8)神経伝達物質の能動的再吸収

筋肉を揉んだり(マッサージ)・骨の矯正(カイロ)を行っても症状が戻ってしまった経験はありませんか?私たちが動く時、動けという命令が脳から神経を通じて筋肉へ伝達されます。神経の接合部では命令を伝えるために必要な物質アセチルコリンが分泌され、神経筋(筋肉の中でも脳からの命令に反応する筋肉)に命令が伝達されてはじめて動くことが出来ます。しかし、アセチルコリンの分泌が円滑に行われなければ、脳からの命令通りに筋肉は機能出来ず、疲れやすく、さらに無理に動かすことによる痛みが生まれます。 ただ揉んだり矯正するだけでは一時楽になるだけで、症状は改善されず元の症状に戻ってしまうのはこのような理由からです。

神経の情報伝達力を正常化し、神経による筋肉の支配性を高めしっかりとした筋力を取り戻し体の機能や痛みを改善させる施術法です。施術者が複数の関節に同時複合圧を加え、固有受容器(筋肉の端と端にある筋・腱紡錘)を刺激し、求心性の情報を脳の中枢へ送ります。 脳から遠心性の情報としてフィードバックされ神経の末端においてアセチルコリンの分泌が行われ、神経筋にその情報が伝達されます。アセチルコリンを円滑に分泌させ、筋肉を賦活し、整合し、筋骨格を整えていき症状を根本的に早期解消することが可能です。
※ただし、症状によっては中長期の施術を要することもあります。

①階段を降りるときヒザに痛みが出る。

この場合のヒザ痛は太ももの前にある筋肉(大腿四頭筋)が伸展機能を低下させたため、ヒザを曲げた時、太股の筋肉に力が入りにくくなっていることで生じています。
このケースでは太ももの筋肉をことさら鍛えようとすると逆に症状悪化を招くことが多くお勧めできません。この痛みへの最も効果的な対処は太ももの筋肉全体の柔軟性を回復することです。
大腿部の筋肉を中心とした筋代謝力の向上を計れば、この伸展機能の回復に抜群の効果を現し、痛みは解消させます。

②立ち座りの時に腰が痛い。

この場合で発する腰の痛みは寛骨筋群と称される骨盤周囲の筋肉群が円滑に骨盤を動かせていない事から生じます。
人が立っている時の骨盤角度は斜め姿勢ですが座ると骨盤は水平姿勢に角度を傾けます。この動きは寛骨筋群の働きで行われているのですが、動きの円滑さが阻害されると、このタイプの痛みが生じます。この寛骨筋群の筋代謝力を復元すれば骨盤の円滑な動きの回復がなされ、痛みは解消します。

③肩の痛みが強く腕の動ける範囲も狭まり痛みで夜に目が覚める。

この痛みは一般的に五十肩と呼ばれる症状で正式名は癒着性関節包炎です。肩の関節はソケットのような、はめ込み式の構造になっており、それは他の関節と構造的に異なる、たいへん大きな特徴です。
他の関節は靭帯という硬い組織で繋がれています。癒着の原因を成している三角筋の筋代謝力を復元することで関節包の伸び縮み機能を回復させ、それにより痛みの解消と関節の動きを回復し、この傷害は終息されます。肩の関節はソケットのような、はめ込み式の構造になっており、それは他の関節と構造的に異なる、たいへん大きな特徴です。他の関節は靭帯という硬い組織で繋がれています。ところが、肩関節だけは関節を繋ぐ靭帯の存在がなく、それゆえソケット関節と呼ばれています。この関節は肩から腕の付け根にかけて付着している三角筋と呼ばれる大きな筋肉で守られています。それゆえ三角筋の筋機能が低下すると肩関節の支持が危うくなり関節の動きに制限がかかります。通常、関節が動くには筋肉だけの働きではなく、関節の中にある関節包の伸び縮みもないと動けません。三角筋の筋機能が低下するとこの関節包の伸び縮みの幅が小さくなり、やがて癒着が始まります。こうなると肩や腕を動かすと痛みが生じます。この傷害は悪化すると、肩にたいへん強い痛みを発し、夜間に何度も目が覚めたりします。

④腕がだるく手のひらや指先にシビレと痛みがあり肩こりも強い。

この症状は胸郭出口症候群と呼ばれ、鎖骨と肋骨と胸骨で造る胸郭と呼ばれる部位から腕を通り指先まで伝わっている神経が、出口の胸郭で、小胸筋により圧迫されることで生じています。通常、神経圧迫は神経過伸展や関節変形、或いは骨棘の形成に髄核の脱出などで受けますが、この症状は筋肉から圧迫を受けているもので、珍しいタイプの傷害です。強い肩こりと強い腕のダルさとシビレ、そして痛みが症状の特徴です。肩甲骨周囲筋群の筋代謝力を復元させることで肩甲骨の動きの円滑をはかり、そのうえで小胸筋の硬縮と胸郭圧迫を取り除き症状を解消させます。

ヒザの曲げ伸ばしや歩行時にヒザの内側が痛く立っていてもヒザが伸びにくい。

このヒザ痛はヒザ関節に変形が生じている時に発し、又、女性に多発します。ヒザの曲げ伸ばしは太ももの前にある大腿四頭筋と呼ばれる筋肉が圧倒的に関与しており又、支えや動きは太ももの裏にある大腿二頭筋や半腱半膜様筋と呼ばれる筋肉などでヒザ関節の動きや支えに関与する全ての筋肉群の代謝を復元させることで痛みを解消させ、さらに水腫も防ぎます。又、初期、中期の関節変形であれば骨代謝に連動しながら、殆ど正常形に矯正されます。ヒザの曲げ伸ばしは太ももの前にある大腿四頭筋と呼ばれる筋肉が圧倒的に関与しており又、支えや動きは太ももの裏にある大腿二頭筋や半腱半膜様筋と呼ばれる筋肉などが大きく関与しています。このような筋肉群が代謝機能を低下させると今度は骨の代謝異常が生じてきます。人の骨はどこの部位であっても、一定期間の内に新陳代謝を行っていますが、これが正常に行われなくなります。具体的には破骨機能が低下し造骨機能とのバランスが崩れてきます。こうなると関節変形が始まります。この痛みは往々にして水腫(いわゆる水)を伴い、日を追って強まります。通常なら痛みが解消するまで2~3年の間、運動を止めるようになってますが、太ももの筋肉の筋代謝力を復元し、大腿四頭筋腱の緊張を弛めます。

⑥仰向けで寝ていると腰が痛く立っていても腰が痛い。

この痛みは反り腰性の腰痛で女性に多発する傷害です。原因は骨盤がせり上がって来たことでお腹が前に出て来、それにより腰椎の前弯も深くなり過ぎ、身体を反り返らせた姿勢が常の状態になっているためです。
腰椎のこの状態は骨盤の傾斜角を浅くし、結果、背骨を支える脊柱起立筋群が常時緊張状態におかれ、それが慢性的な腰痛を生じさせています。脊柱起立筋群や骨盤の動きに関与している寛骨筋群等の筋代謝力を復元させることで背骨の反り返りを正し、骨盤位置の下方矯正で腹斜筋を始めとした腹筋群等を元の位置へ戻させます。

⑦カヌーの腰痛症、野球の腰痛症、水泳の腰痛症

カヌーと野球と水泳の腰痛症はモーメントアーム性腰痛症の典型です。しかし、この両者は同じモーメントアーム性腰痛症でもタイプは全く異なります。モーメントアーム性腰痛症とは腕にかかる負荷が大きいために腕使いが腰に大きな負担をかけることで生じた傷害です。筋肉にかかる負荷特性を第一に考えながら、問題のある筋肉群の筋代謝を復元させ筋骨の連携を合わせます。モーメントアーム性腰痛症とは腕にかかる負荷が大きいために腕使いが腰に大きな負担をかけることになり生じた傷害です。 その面から見れば漕艇選手も野球選手も同じですが、実は決定的な違いがあります。それは競技中、漕艇選手の下半身はヒザを強く曲げ伸ばす縦の動きですが、野球選手は身体を片側に捻る回旋の動きです。この違いは、腕や上半身を使った時に腰にかかる負荷と、それを受ける筋肉が全く異なります。漕艇選手では大腿部の筋肉群と身体を支える脊柱起立筋群直筋系がその負荷を受けますが、野球選手の場合は側屈系の筋肉群と身体を支える脊柱起立筋群斜筋系がその負荷を受けます。

⑧スポーツでの腰痛。

スポーツ腰痛症は言うまでもなく何の競技でも、又、スポーツでなくても特別な修練を要する動作なら何にでも生じる傷害です。例えばベリーダンスにタンゴや日本舞踊などでも同様です。スポーツ腰痛症は筋肉の代謝バランスの失調から発する一般腰痛症と異なり、筋肉を過度に使い過ぎたアクセル系の腰痛症と腱の制御機能を使い過ぎたブレーキ系の腰痛症に大別されます。伸筋の筋代謝力を集中的に復元し筋肉と腱の制御時間差を回復させます。この欄で挙げた競技は、その分類で分けると総じて腱の制御機能を過度に使った事によりブレーキ系に異変が起きる例です。多くの方はブレーキ系腰痛症なる言葉は多分、初めて耳にされる言葉だと思います。そこで、若干専門的にはなりますが、このブレーキ系腰痛症の説明を致します。人の動きは筋肉の働きで行われており、関節の動きも同様です。大切な事は筋肉が力を正しく発することで、その役割は腱が果たしています。腱は筋肉の先端部にあり骨に付着しています。この腱は伸筋が伸展してくると反対側の屈筋を収縮させます。これは腱の中にある腱紡錘に包まれた1b求心性繊維が収縮指令を発し、解除は1b求心性抑制繊維が抑制指示を出し、行っています。筋肉はこの腱の機能で筋力を発揮します。この腱の収縮指令のオン、オフは神経の発する電気的信号と神経伝達物質の伝わりで制御されていますが、筋肉と腱は同時には反応せず、先ずは筋肉が、次は腱が、の順番で反応し、この両者の反応にある一定の時間差を生じさせています。この時間差は神経が反応する時の信号電位で五ミリV程度の到達時間差です。ブレーキのかけすぎで1b求心性繊維がオーバーワークになると、この時間差=信号電位差が縮まってきます。こうなると、よりブレーキのかかり方が早くなり、その分、筋肉の平時緊張度が高まります。それにより筋肉の等尺力(身体を支える力=姿勢維持筋力)が運動頻度の高い部位から低下し、それがやがて複数筋に及んで行くと強い腰痛症を生じます。

⑨テニスの肘痛と野球の肘痛の仕方は違う。

テニス選手が発症させる肘痛症は肘関節の外側に痛みを出すタイプで正式な呼び名は上腕骨外側上顆炎です。又、この傷害はフォアハンドで打つ時に痛みが出るフォアハンドテニス肘とバックハンドで打つ時に痛みが出るバックハンドテニス肘の二種があり、フォアハンドテニス肘はバックハンドで打っても痛みは殆どありません。その反対で、バックハンドテニス肘の選手がフォアハンドで打っても殆ど痛みはありません。しかし、この二種の肘痛症はいずれであっても痛みの出る部位は同じで、それは肘関節の外側上顆と呼ばれるところです。テニス肘には伸筋代謝力の復元を中心に捉えながら回内筋、回外筋との協調力を回復させます。 他方、野球肘痛症は関節並び合わせ術で肩甲骨の滑り移動範囲を広げ上腕二頭筋と上腕三頭筋の運動反射力と肩部筋群の代謝力を復元させます。このテニス二種の肘痛症はいずれであっても痛みの出る部位は同じで、それは肘関節の外側上顆と呼ばれるところです。ところが、レントゲン検査でそこを見ても何の異変もありません。このように痛みを発している関節部分には何ら異変がないにも関わらず、その部分が痛むようなことを反射痛と呼び、テニス肘痛はこの反射痛が大きな特徴です。テニス肘の発症原因は強く打った後の「ラケットの速い引き戻し」です。この傷害は最初に伸筋である腕橈骨筋に痛みを感じ次に回外筋や回内筋の機能低下が加わり発症します。これらの筋肉群が最もダメージを受ける動きは過度なブレーキングです。又、テニス競技は上肢の内転、外転の動きを三角筋と大胸筋の外転位120度以内で大半が行われていることから「筋肉の習慣的機能の転倒阻害」は基本的には見らません。 他方、野球投手の肘痛症はテニス選手と痛みの出口も発症の原因も全く異なります。野球投手の肘痛は肘関節の内側に出現し正式には上腕骨内側上顆炎と名称されています。つまり、テニス肘の外側上顆に対し野球肘は内側上顆です。発症原因もテニスとは全く異なり、野球投手は上腕筋群の伸筋である上腕三頭筋と屈筋である上腕二頭筋の強調不全が主な原因で痛みを発しています。これは筋肉のアクセル系に生じた傷害です。この傷害は投げる時に上腕の位置が通常より下がった時に痛みや違和感を生じさせ、それが続くと発症に至ります。これは「筋の習慣的機能の転倒」が阻害されている事を現しています。何故なら、投げる時に上腕位置が下がると、肘の位置も下がります。つまり、モーターポイントの移動が大きく起きており、これは筋機能の低下が上肢筋群で生じていることを現しています。

⑩走ると足の付け根が痛い。

この傷害は陸上競技の長距離選手に多発する腸腰部滑液包炎です。人が立って、歩いたり、走ったりする時は、足の付け根にある腸腰筋の収縮が最初の動きになりますが、この腸腰筋は大腰筋、小腰筋、腸骨筋の先がひとつになった組織ですが、この部分は解剖学上の破格が生じやすい部位で、日本人の場合、52%の人に小腰筋が見当たりません。内骨盤筋である腸腰部構成筋群と外骨盤筋群、内転筋群の運動バランスを改善すべく当該筋の代謝力を復元させます。レントゲン上で骨異変が確認されないにも関わらず痛みが長く引かないようであれば、この傷害を疑い、早期の専門治療が必要です。この痛みは腰やヒザ関節、更には肩にまで痛みの連鎖が起き易く、長引けば更なる傷害が生じます。人が立って、歩いたり、走ったりする時は、足の付け根にある腸腰筋の収縮が最初の動きになりますが、この腸腰筋は日本人の場合52%の人に小腰筋が見当たりません。つまり、大腰筋だけの人が半数を上回っています。この破格に当たる人が強いランニングを行うと当然ながら股関節に過大な負荷がかかり、腸骨筋の関節をつなぐ機能が低下します。それは滑液の過剰分泌を生じさせ痛みを発します。

⑪下腿部、スネノの辺りが痛くて走れない。

この傷害はシンスプリント症候群で、具体的には1.後脛骨シンスプリント。2.脛骨骨膜炎。3.前区画症候群。4.脛骨骨折。の四症があります。この傷害は、陸上トラック競技選手、バスケットボール選手、テニス選手、サッカー選手など、文字通り、スプリング系ランニング競技の選手に多発します。距腿関節の運動軸、距骨下方関節の運動軸、横足根関節と足根中足関節の運動軸の四軸を後脛骨筋、前脛骨筋、腓腹筋、ヒラメ筋、足底筋、長腓骨筋、短腓骨筋などの運動軸と整合させ、足首のバネ機能の回復を計るべく当該筋の代謝力を復元させながら1.の後脛骨シンスプリント、2.の脛骨骨膜炎を解決します。又、脛骨骨折には骨が接合した後、下腿のみならず下肢骨格筋全体の代謝力を復元させ、早期の運動復帰を実現します。3.の前区画症候群は手術対象で、競技復帰が可能かどうかは、この場で論じる事はできません。速く走る時には地面や床を強く踏み込み、強く蹴らねばならず、足の動きは背屈と底屈の強い繰り返しです。この運動で背屈を行う筋肉は主に後脛骨筋と前脛骨筋で、これらの筋肉の機能が低下すると後脛骨シンスプリンを発症します。2.の脛骨骨膜炎は1.の症状が更に悪くなり、骨が危ない状態になると骨膜神経が骨に代わって痛みを発します。つまり、骨膜は骨のストレスセンサーの役割を果たしています。3.は脛骨動脈に阻血が起きている状態で、これは筋肉や骨の壊死を引き起こす可能性があり、大変危険な状態です。4.は前脛骨筋や後脛骨筋の支持力を超える力が一時的、或いは継続的にかかった時に生じる疲労骨折で、事故で起きる骨折はシンスプリントではありません。シンスプリントはいきなりの発症は稀で、通常は事前に足首や足の横に痛みを発します。足首には下伸筋支帯と呼ばれる筋膜が変性した組織があり、シンスプリントが生じる前に、この部分か、或いは足首の動きを調整する腓骨筋かに痛みを発します。
スポーツ傷害は二次疾患から三次疾患、さらなる複合疾患へと傷害が連鎖していくケースが多くあり、最初に出た痛みを筋肉の警告として受けとめ、複合傷害を未然に防がねばなりません。シンスプリントはその代表的な傷害です。

⑫腕を外開きで挙げると肩の高さ辺りで痛い。

この痛みは腕を回旋する競技で多発し正式名称は棘上筋症候群と呼ばれています。発症のきっかけは筋肉中での石灰沈着で、それゆえ石灰沈着性炎症とも呼ばれています。回旋を多用する競技では棘上筋と呼ばれる回旋筋に細胞廃棄物が特に集まります。免疫のマクロファージ機能でその除去をするのですが、その際に石灰を作ります。棘上筋の筋代謝の復元のみならず肩鎖関節の円滑な動きの確保にも留意し、必要な当該筋群の筋代謝も同時に復元させます。石灰は通常なら代謝されるのですが、過度に生じると代謝が追いつかず蓄積されます。これがある程度進むと腕を外開きした時に肩峰下の空間が狭められます。この状態で、ある程度の角度(60°~120°)まで腕を挙げると痛みを出します。発症で競技別の違いはあまりなく、腕の回旋運動がオーバーワークになっている事が唯一の原因です。

⑬手首を動かすと痛い。

この傷害は腱鞘炎で、バレーボール、漕艇、卓球、バドミントン、ソフトテニスなど、手首と指先を強く使用する競技で多発します。痛みの出る部位が手首近辺なので、手首を痛めたと思いがちですが、原因の多くは指先の使い過ぎです。それが手首に痛みを出す理由は伸筋腱が六つの腱区画に分かれ、それぞれの伸筋がその中を直接通っていることによります。前腕伸筋群の筋代謝力復元と、拮抗する前腕屈筋群代謝力の復元させます。具体的には第1腱区画=長母指外転、短母指伸筋。第2腱区画=長トウ側手根伸筋、短トウ側手根伸筋。第3腱区画=長母指伸筋。第4腱区画=総指伸筋、示指伸筋。第5腱区画=小指伸筋。第6腱区画=尺側手根伸筋。となっています。そこで、これらの伸筋群を使いすぎると鞘の中により多くの潤滑油が必要になります。この潤滑油は滑液と呼ばれ、関節腔から供給されますが、この供給が多くなり過ぎると腱鞘から外に漏れ出し強い痛みを腱鞘近辺の手首に発します。

⑭テニスとホッケーなどの腰痛。

どちらも中腰姿勢を多用する競技ですが、腰痛発症の原因は全く異なります。テニス選手の腰痛は中腰姿勢から伸展姿勢へ身体を移す動作の多用により身体を支える脊柱起立筋群の腱が機能低下した結果、腰痛症を発症させます。それに対しフィールドホッケー選手はスティックさばきをしながら競技の始めから終わりまで殆どが中腰姿勢であり、腰痛症は概ねその姿勢に対応する筋肉のオーバーワークにより発症します。テニス選手の腰痛症に対しては脊柱起立筋腱の制御機能回復を中心に据えた脊柱起立筋代謝力復元を行います。又、フィールドホッケー選手の腰痛は主に側屈系筋肉の伸展力を回復させながら腰部内転筋の筋代謝力を復元させます。

⑮柔道と陸上の腰痛

この二種のスポーツで生じる腰痛症は「総じてこうです」と言えない点が大きな特徴です。柔道選手の腰痛症は選手の得意技が大きく関係しています。例えば背負い投げを得意とする選手であれば身体を支える脊柱起立筋浅層部の腰腸肋筋と深層部斜筋系の筋肉が重なる部分に炎症性の腰痛症を発症させるケースを多数見ます。又、重量級の選手では投げられた時に骨にかかる衝撃が強く、そのために腰椎分離症を発症するケースを多数見ます。このような様々な腰痛症に対し発症原因を成している筋肉群へ効果的な深層伸展をかけながら筋代謝力を復元させ、又、体幹軸を縦筋である脊柱起立筋群、横筋である側屈系筋群、斜め筋肉群の腰部外転筋群など、三方から個別の問題を解決させます。柔道選手は受け身のすべを知ってるので筋肉にかかる負担は巧く回避するのですが、骨に継続的かかる衝撃は競技の特徴からいって回避は困難です。骨は神経が通ってないので強い衝撃を受けてキズが生じても痛みの自覚症状が出ません。つまり、なんともないのです。しかし、キズは確実に大きくなりやがて亀裂となります。こうなると筋肉に異変が生じます。片側分離で最も異変を感じ易い部位は腰部外転筋の中臀筋で、常にその部位に違和感を感じます。両側分離なら胸腰筋膜に継続的なダルさや時として強い痛みを感じます。
この分離性の腰痛症は片側性、両側性を問わず、「ある日突然、これと言う予兆もなく」動くことが殆どできないような強い急性腰痛を発症させます。技別発症の腰痛症をさらに見ると、払い腰は払う側の腰部側屈系の筋肉群、はね腰は軸足側の腰部内転筋群などに過大なストレスが生じ易く、そのため、それら筋肉群を中心とした筋肉性の腰痛症を発症させます。
他方、陸上競技選手の腰痛症は圧倒的に投擲種目の選手に発症します。ランニング系の種目で発症させる腰痛症はスタート練習をやり過ぎた場合などを除くと、競技そのものが原因を成すケースはあまり見かけません。投擲競技で生じる腰痛症では特有の発症原因があります。投擲競技は投げる時にサークルから出てはならない決まりのため投げる瞬間、投げるために発した屈筋張力(筋肉のパワー)を拮抗筋が強く制止し、この時に生じる強い制止モーメントを利用することで遠くに飛ばしますが、この競技で生じる腰痛症は、この力により発症します。通常、スポーツで生じる腰痛症は筋肉のアクセルを踏み込み過ぎたオーバーワークで起きますが、このタイプの腰痛症はブレーキをかけ過ぎたことにより発症します。